作家大佛次郎の開化小説と、多くのファンに愛される大和和紀の漫画『ヨコハマ物語』をクロスオーバー。作品舞台である開化期の横浜にせまります。2019年、横浜は開港160周年を迎えます。
幕末、1859年(安政6)に開港された横浜には多くの外国人が来日し、さまざまな西洋文明がなだれ込んできました。国内からも一旗揚げようと意気込む人々が集まり、開港場は急速に発展しました。もとは小さな漁村だった横浜は、否応なく「文明開化」の波に呑まれ、外と内を繋ぐ港町として新しい時代を築いていくこととなりました。
大和和紀原作の少女漫画『ヨコハマ物語』は、講談社の雑誌「週刊少女フレンド」で、1981年~1983年に連載されました。文明開化期の横浜を舞台に、主人公のダブルヒロイン、お卯野と万里子の恋と成長を軸にストーリーが展開します。
大和和紀先生は『ヨコハマ物語』で、開化期の横浜の風物を華やかに、2人の少女の恋と成長を軸に描いていらっしゃいます。作品では、魅力的な登場人物たちを育む、開港地の異国情緒あふれる街並や文化、商業の発展、港町としての変遷、近代化の生んだ光と影など、ストーリーと巧妙に絡んだ横浜の歴史を知ることができます。まさに「ヨコハマ」の物語であり、波乱の時代を逞しく生きた「ヨコハマ」の人々に思いを馳せずにはいられません。
いっぽう、明治30年の横浜に生まれた作家・大佛次郎は、「私ほど横浜に溺れて、横浜の小説を数多く書いたものは他にはいない」と自ら書くほどに横浜を愛していました。大佛の作品群で、幕末明治の横浜が舞台の小説を「開化もの」と呼び、「霧笛」「幻燈」「花火の街」など15作以上が当てはまります。代表作「霧笛」では、明治初年の外国人居留地を舞台に、日本人青年の西洋への憧れと葛藤を描きました。「ヨコハマ」に魅了された大佛は、その姿を切取ろうと模索し、多くの物語を残したのです。
二人の作品からも分かるように、開化期「ヨコハマ」は、華やかであるとともに多様性と混沌に満ちた、実にドラマチックな場所でありました。
本展示では、大佛次郎記念館が開館以来はじめて現役作家の作品を取り上げて展示します。大和和紀先生と大佛次郎が、実在する人物や歴史【史実】と、魅力的な登場人物・ストーリー【フィクション】を織り交ぜて、鮮やかに描き出した「ヨコハマ」の再現を試みます。
第1期: 4月3日(水) ~ 5月19日(日)
第2期: 5月22日(水) ~ 7月7日(日)
第3期: 7月10日(水) ~ 9月8日(日)
≪特製ポストカード・プレゼント≫ 観覧チケットお求めの方限定で、展覧会初日(4/3(水))は全員に、開港記念日(6/2(日))は開港160周年を記念して先着160様に、特製ポストカードをプレゼント!