
藤井健司×大佛次郎「帰郷 HomeComing」-めぐる、めぐる旅の途中で
~
予約不要
テーマ展示
所蔵品・展示品
芸術の「秋」が近づいてきました。
今回の展覧会には、いくつもの“はじめて”があります。
「見どころ」でもある、それらを一つずつご紹介していきたいと思います。
まず、一つ目は展覧会のコンセプト:世代を超えた美術と文学のコラボレーション!です。
この展覧会は、大佛次郎の戦後の名作「帰郷」を舞台にくり広げられる
現代の画家・藤井健司とのコラボ企画なのです。
1981年生まれの画家・藤井健司は、横浜市内の小学校に通う高学年の時、
横浜美術館の「子どものアトリエ」ではじめて日本画と出会いました。
そして、2006年の「日本×画展 にほんガテン! ーしょく発する6人」(横浜美術館)
でデビューをはたします(当時のアーティストネームは藤井雷)。
そんな横浜が生んだアーティスト藤井健司は、現在、横浜とカナダのバンクーバーを拠点に活動を続けています。
なぜ、この藤井健司とのコラボレーションにいたったかというと、
それは約20年前にさかのぼります。
2007年の山手芸術祭「アーティストミーツ大佛次郎」という企画の中で、藤井健司が大
佛次郎の作品の中から「帰郷」を選び、そこからインスピレーションを得て、作品を制作したことが
はじまりです。
藤井健司は前年、上記横浜美術館での展覧会に出品する絵巻《彼南模様(ペナンもよう》
(同館収蔵)制作のため、マレーシアに滞在していましたが、「『帰郷』を読み進めるうちに
記憶の中のマレーシアの景色に色彩が灯りました」と、大佛次郎「帰郷」との対話の様子を
語っています。
そして、今回はペナン滞在中に毎日のように書き送ったという「絵手紙」31枚も展示されます。
これをつなげると、一続きの絵巻物のようです!!(前期と後期で作品が入れ替わります)
それは、藤井健司が2023年の当館での
展示【「南方ノート」と「戦後日記」ー大佛次郎が見た戦中・戦後】を訪れたことが契機となりました。
大佛次郎が1943年(昭和18)に、同じくペナンに滞在していたということを知り、今回の出展となったのです。
「帰郷」の挿絵ではない、藤井健司の作品は、見る人に文学作品「帰郷」との間を自由に行き来させ
ます。出版から長い年月を経てもなお、画家にヴィヴィッドな色彩を与える小説「帰郷」の魅力と合わせて、是非お楽しみ下さい!
~
予約不要