ポール・ルヌアール 展の見どころ①

テーマ展示

所蔵品

「ポ―ル・ルヌアール没後100年 大佛次郎版画コレクションー小さきものへのまなざし」

ポール・ルヌアール版画『動き、身振り、表情』
第2シリーズ「家禽」より [ヒヨコ百態](部分)

<ルノワールじゃないよ、ルヌアールだよ>

これは、今回ご紹介する展覧会のテーマの一つです。

ですが、ルヌアールっていったい誰でしょう?

というわけで、見どころ①として、まずは、ポール・ルヌアールのご紹介からはじめます!

前者、ルノワールとは、印象派の画家として有名なピエール=オーギュスト・ルノワール(Pierre-Auguste Renoir 1841-1919)のこと。

それに対し

われらがルヌアールは、

シャルル=ポール・ルヌアール(Charles Paul Renouard 1845 – 1924)

今年没後100年、節目の年を迎えたフランスの画家・版画家です。

ポール・マテイ
「ポール・ルヌアール像」 
画像:ColBase (https://colbase.nich.go.jp)

フランス出身の画家で生没年も近いこの二人、同じ時代を生きた、まさしく同時代人です。

当時のフランス人にとっても、二人の名前は一瞬、聞き分けづらい名前だったようです。

<人気者、ルヌアール>

現在、印象派のルノワールに対して、知名度が高いとはいえないルヌアールですが、

19世紀末の当時、そのデッサン力、芸術性が高く評価され、大変な人気を博していました。

「イリュストラシオン」や「グラフィック」といったパリやロンドンで発行される、

週刊の挿絵入り新聞の紙面に、大きな事件だけでなく、

市井に暮らす人々の様子を切り取った、様々な挿絵を提供していました。

ポール・ルヌアール 版画集『動き、身振り、表情』
第13シリーズ「街頭でのスケッチ」より [黒衣の女性5人]

かの有名な画家、フィンセント・ファン・ゴッホ(1853 – 1890)は、弟テオにルヌアールの新聞挿絵の切り抜きを頼んでいたといいます。

…そして、あまり知られていないのですが、、、1875年に竣工した、

パリ・オペラ座↓↓↓

パリ・オペラ座 ガルニエ宮
画像: https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Paris_Opera_full_frontal_architecture,_May_2009.jpg

…の大階段の上に描かれた天井画。

これは、当時エコール・デ・ボザール(国立美術学校)の教授であったイジドール・ピルスの作品なのですが、

体調を崩していた師匠に代わり、兄弟子とともに制作に励んでいたのが、

ルヌアールなのです!!

彼は、これをきっかけとして、オペラ座の舞台裏への取材を開始しました。

展示でご紹介している版画は、オペラ座ではなく、

ロンドンのドルリー・レーン劇場に取材したものですが、劇場やダンサーは彼の作品の中で、

主要なモチーフの一つであったといえます。

パリ・オペラ座にお出かけの際には、大階段の天井画を是非ご覧になってみて下さい。

くれぐれも、お足もとにはお気をつけて!

 (筆者は未見です。行きたい…)

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