猫へのまなざし、こどものおはなし展
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予約不要
ねこ
その他

小学校に入りたての時分、横浜から牛込の東五軒町へ越してきたら前の住人が置き去りにして行った雉猫がいた。もう、かなり年をとっていたが、僕の家になってからも五六年いた。その後白金へ引込す時になって行李へ入れて連れて行った。それからも一年ぐらい生きていたろう。僕が飼った最初のものだった。…冬になると必ず僕の床の中へ入って来て寝たし、僕が外から帰って来ると、足音で玄関まで迎いに来たくらいよく馴れていた。死んでから女中が鍬で庭の隅へ埋めた。遊んでいる最中に「たま」のことを思い出すと、僕は、誰にも見つからないようにその墓へ行って土を撫でてやった。僕と猫との交渉はこれから初まっている。 「猫々痴談」より
私の妻が病気で入院した。猫を殆ど手離した事のない妻とはいえ、病院まで二匹の猫を連れて行けず、留守をさせた。一日二日と経つ内に、二匹が二匹ともだんだん落着きを失い、気が荒くなって行っているのを発見した。食事を摂る量も少くなって行った。やたらに松の木に駆け上ったり、ゴルフの球を投げると子猫の如く大袈裟に身体ごと投げ出して押えたりする。それでいてケロリとそれを離して憂鬱に歩いて去ってしまう。本当につまんなそうだ。それが私にもよく分った。妻が退院して帰ると、すぐ、コトンもシロも痩せたわと云った。 「私の猫」より
私の家が猫好きだと知って、どこから来るのか人が猫を捨てに来る。迷惑なことだが、私の妻がひろってしまう。…そこで私は大分前に妻や女中たちに申渡した。
「猫が十五匹以上になったら、おれはこの家を猫にゆずって、別居する」
この脅迫(きょうはく)は、きき目があって十五匹で人口(?)は制限できた。…十五匹の猫は各自の皿を十五並べて食事するのである。
…念の為に算(かぞ)えて見たら十六匹いたことがあったので、女房を呼び出した。
「おい、一匹多いぞ。おれは家を出るぞ。」と言ったら「それはお客様です。御飯を食べたら、帰ることになっています」 エッセイ「猫の引越し」より
2026年8月29日からは、「猫へのまなざし、こどものおはなし展」を開催します。
大佛の少年少女小説や童話の中から、猫やこどもを主人公とする作品を中心に紹介し、〈まなざし〉と〈おはなし〉をキーワードに、大佛が猫とこどもに寄せた愛情を読み解きます。
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