愛蔵品コーナー紹介:「大佛次郎『大楠公』の挿絵画家・荒井寛方とインド」③

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開催中の愛蔵品コーナー展示「大佛次郎『大楠公』の挿絵画家・荒井寛方とインド」について、展示している挿絵とともに物語の場面を紹介しています。
今回は、現在展示中の第3期です。
日野質朝(すけとも)と日野俊基(としもと)による倒幕計画(正中の変)から7年。六波羅ではいまだ緊張状態が続き、京でも疫病が流行るなど不穏な空気が漂います。

荒井寛方・画「大楠公」の挿絵原画/第38回
「闇のうつゝ」第5回
空を焦がすその光が、大内のあたりから見ても、火事ではないかと怪しまれるくらいであった。
荒井寛方・画「大楠公」の挿絵原画/第40回
「闇のうつゝ」第7回
いずれかへ、ひそかに行幸(みゆき)になったらしい。后の宮もおいでないのである。

幕府側の動きを察した後醍醐天皇は、六波羅の目をかいくぐり、囮(おとり)を使い、その隙に御所から出立します。闇夜に紛れる一行と、探し回る六波羅の兵たち。二枚を見比べると、その対比が鮮やかに描かれ「その夜一夜で世界は変った」様子が伝わります。

荒井寛方・画「大楠公」の挿絵原画/第42回
「闇のうつゝ」第9回
「死ぬるのは気楽なものだ」

一方、正中の変では極刑を逃れた俊基でしたが、六波羅の厳しい監視により再び捕らえられ、とうとう打首の刑に処されてしまいます。
古来一句(こらいいっく)
無死無生(しもなししょうもなし)
万里雲尽(ばんりくもつきて)
長江水清(ちょうこうみずきよし)

と、辞世の句を書いた俊基。その瞬間、彼の胸にはある感情が湧き上がります。

(勝つぞ!)
 それだった。太く一直線に。(…)俺の死もそのため、妻子の苦痛もそのためだったのだ。自分はいなく成る。しかし自分のなくなった後に、必ず幸福な時が来るのだ。勝つ、必ず勝たずにはいないのだ。

泰然とした俊基の最期の姿を、家来の助光が見届けました。

荒井寛方・画「大楠公」の挿絵原画/第48回
「日出前」第6回
正成(まさしげ)は、河内から連れて来た五十騎ばかりの手兵を山の下にとどめ、二人ばかりを供にして、木戸を結った嶮(けわ)しい山道を登って来ていた。

同じころ、「天皇の意を受けて発給された命令文書」(綸旨・りんじ)を受け取った楠木正成(まさしげ)は、7年の時を経て天皇のために働く時が来たことを悟り、笠置の行在所(天皇の宿泊地)へ向かいます。果たして、無事に辿り着けるのでしょうか。

追う者、追われる者、そしてついに決起する楠木正成・・・
第3期は、物語が大きく動き出す場面で構成されています。

次回(第4期)は、7/25(土)~9/25(金)の開催となります。8/17(月)~28(金)の期間は、テーマ展示展示替えと特別資料整理期間のため休館します。
あらかじめご了承ください。

★これまでの記事はこちらからご覧いただけます↓
①展示概要&第2期前篇
②第2期後篇

★「大楠公」挿絵原画をもっとご覧になりたい方はこちら↓
大佛次郎記念館 デジタルアーカイブ

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